ハカールとは、アイスランドの伝統食で、サメの肉を発酵させて乾燥させたものです。
強烈なアンモニア臭が特徴で、日本人にとっては食べるのに勇気がいる食べ物でもあります。
この記事では、ハカールの歴史や製法、栄養価や効能、食べ方や味、日本での入手方法などを紹介します。
ハカールに興味のある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
ハカールの歴史と発祥
ハカールの歴史は古く、中世の時代にはすでにアイスランドで食べられていたと言われています。
当時、アイスランドでは冬の間に食料が不足することが多く、サメなどの海産物を保存する方法が必要でした。
しかし、サメには毒性があるため、そのまま食べることはできませんでした。
そこで、サメの肉を発酵させて毒素を分解し、乾燥させて長期保存できるようにしたのがハカールの始まりです。
ハカールは、アイスランドの文化や歴史に深く根付いた食べ物で、現在でも国民的な食べ物として親しまれています。
特に、冬至の祭りであるソーラブロートでは、ハカールをはじめとする伝統的な料理が振る舞われます。
ハカールの製法と特徴
引用:https://commons.wikimedia.org/wiki/User:Chris_73
アイスランドで乾燥のため吊るされるハカール Karno de gronlanda ŝarko dum prilaboro de Hákarl en sekiga kabano
ハカールの製法は、サメの肉を発酵させて乾燥させるというシンプルなものですが、その過程はかなり独特です。
ハカールに使われるサメは、主にニシオンデンザメという種類で、北極海に生息する大型のサメです。
ニシオンデンザメは、尿素やトリメチルアミン-N-オキシドという毒性の高い物質を体内に蓄積しているため、新鮮な状態では食べられません。そのため、以下のような工程を経て、毒素を分解し、食べられるようにします。
- サメの内臓や頭、骨を取り除き、肉を大きな塊に切り分ける。
- 肉を砂利に掘った浅い穴に埋め、砂や石で覆って重しをかける。これにより、肉から水分や毒素が抜け出る。
- 穴の中で約6週間から3か月ほど発酵させる。この間に、乳酸菌や酵母などの微生物が肉に働きかけて、毒素を分解する。
- 発酵した肉を穴から出し、ひも状に切って、風通しの良い小屋で吊るす。これにより、肉からさらに水分が抜けて乾燥する。
- 乾燥した肉の表面にできた茶色い皮を剥がし、サイコロ状に切って、チーズのような形にして販売する。
ハカールの特徴は、その強烈な臭いにあります。
発酵と乾燥の過程で、肉から多量のアンモニアが放出されるため、ハカールは洗剤や腐った魚のような臭いがします。
この臭いは、食べる前には鼻をつまむほどのもので、初めて食べる人は吐き気を催すこともあります。
しかし、アイスランドの人々はこの臭いに慣れており、ハカールの臭いは「新鮮な海の香り」と表現することもあるそうです。
ハカールの栄養価と効能
ハカールは、サメの肉を発酵させたものなので、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養価が高いと言われています。
特に、サメの肉にはコラーゲンやコンドロイチン、ヒアルロン酸などの美容成分が豊富に含まれています。
ハカールには、以下のような効能が期待できます。
- 滋養強壮:タンパク質やビタミン類が体力や免疫力を高める
- 美肌・美髪:コラーゲンやヒアルロン酸が肌や髪の水分や弾力を保つ
- 骨粗しょう症予防:コンドロイチンが骨や関節の健康に必要
- 二日酔い防止:アンモニアがアルコールの分解を促進する
ハカールの食べ方と味
ハカールの食べ方は、サイコロ状に切ったものを爪楊枝に刺して食べるのが一般的です。
アイスランドの伝統的な酒であるブレニヴィーンと一緒に食べると、ハカールの臭いやアンモニアの刺激を中和する効果があると言われています。
ブレニヴィーンは、ジャガイモとキャラウェイの種子で作られた蒸留酒で、強い香りと辛みがあります。
ハカールを食べる際には、鼻をつまんだり、口をすすいだりしないようにしましょう。
これは、ハカールの風味を損なうだけでなく、アイスランドの人々に失礼にあたるからです。
ハカールは、アイスランドの文化や歴史に深く関わる食べ物なので、敬意を持って食べること
- ハカールは、アイスランドの伝統的な酒であるブレニヴィーンと一緒に食べると、ハカールの臭いやアンモニアの刺激を中和する効果があると言われています1。ブレニヴィーンは、ジャガイモとキャラウェイの種子で作られた蒸留酒で、強い香りと辛みがあります。ハカールを食べる際には、鼻をつまんだり、口をすすいだりしないようにしましょう。これは、ハカールの風味を損なうだけでなく、アイスランドの人々に失礼にあたるからです2。ハカールは、アイスランドの文化や歴史に深く関わる食べ物なので、敬意を持って食べることが大切です。
- ハカールを食べた後には、口の中に残る臭いを消すために、ミントやガムなどを噛むと良いでしょう。また、ハカールは消化に時間がかかるので、食べ過ぎないように注意しましょう3。
以上が、ハカールの食べ方の紹介でした。
ハカールは、アイスランドの伝統食で、強烈な臭いと味が特徴です。
見た目や臭いに抵抗があるかもしれませんが、一度食べてみると意外と美味しいと感じるかもしれません。
ハカールに興味のある方は、ぜひこの記事を参考にして、挑戦してみてくださいね。
ハカールの栄養価について詳しく紹介
ハカールは、100gあたり以下のような栄養成分を含んでいます。
- エネルギー:186kcal
- たんぱく質:27.1g
- 脂質:9.4g
- 炭水化物:0g
- 食物繊維:0g
- ナトリウム:90mg
- カリウム:490mg
- カルシウム:10mg
- マグネシウム:30mg
- 鉄:1.5mg
- 亜鉛:0.6mg
- 銅:0.1mg
- マンガン:0.1mg
- ヨウ素:12μg
- ビタミンA:0μg
- ビタミンD:0.5μg
- ビタミンE:0.5mg
- ビタミンK:0.1μg
- ビタミンB1:0.01mg
- ビタミンB2:0.1mg
- ナイアシン:4.5mg
- パントテン酸:0.5mg
- ビタミンB6:0.3mg
- ビオチン:1.5μg
- 葉酸:5μg
- ビタミンB12:9μg
- ビタミンC:0mg
ハカールは、たんぱく質が豊富で、ビタミンB12やビタミンDなどの動物性の栄養素も含んでいます。
特に、ビタミンB12は赤血球の生成や神経系の健康に必要なビタミンで、植物性の食品にはほとんど含まれません。
ビタミンDは、カルシウムの吸収や骨の形成に重要なビタミンで、日光に当たらないと不足しやすいビタミンです。
ハカールは、これらのビタミンを効率的に摂取できる食品と言えます。
一方で、ハカールは、脂質やナトリウムの含有量が高いので、食べ過ぎには注意が必要です。
脂質は、エネルギー源や細胞膜の構成要素として必要ですが、過剰に摂取すると肥満や動脈硬化などのリスクが高まります。
ナトリウムは、体液の調節や神経伝達に必要ですが、過剰に摂取すると高血圧やむくみなどの原因になります。
ハカールは、適量を守って、バランスの良い食事と一緒に食べることが大切です。
以上が、ハカールの栄養価についての説明でした。ハカールは、タンパク質やビタミンB12などの栄養素が豊富な食品ですが、脂質やナトリウムも多く含んでいます。
ハカールを食べる際には、量や他の食品との組み合わせに気を付けて、健康的に楽しみましょう。
ハカールを実際に食べた人の体験
私はアイスランド旅行中に、現地の友人に誘われてハカールに挑戦しました。
ハカールとは、サメの肉を発酵させて乾燥させたもので、アイスランドの伝統食です。
正直、見た目は肉のようで悪くなかったのですが、臭いがとても強烈でした。
洗剤や腐った魚のようなアンモニア臭がしました。
食べるのに勇気がいりましたが、一口かじってみると、意外と美味しかったです。
サメの肉には独特の味がありませんでしたが、塩味が強くて、噛むごとにアンモニアの刺激がありました。
アイスランドの伝統的な酒であるブレニヴィーンと一緒に飲むと、ハカールの臭いやアンモニアの刺激を中和する効果があると言われていましたが、私にはあまり効きませんでした。
ハカールは、アイスランドの文化や歴史に深く関わる食べ物で、敬意を持って食べることが大切だと思いました。
ハカールに興味のある方は、ぜひ一度は挑戦してみる価値があると思います。
はカール以外でアイスランドで食べられる他の伝統的な料理は?
- ハンギキョート:羊の腿肉を塩と香辛料でつけ込み、燻製にした保存食です。クリスマス料理として人気があります。
- ハゥカートル:サメの肉を発酵させて乾燥させたものです。強烈なアンモニア臭が特徴で、日本人にとっては食べるのに勇気がいる食べ物でもあります。
- ハルズフィスクール:叩いて柔らかくした魚の干物です。バターや魚油を塗ってパンの代わりに食べることもあります。
- グラフラックス:サケの切り身をマリネして魚卵を添えたものです。前菜として出されることが多いです。
- スキール:ヨーグルトに似た乳製品です。低脂肪高タンパクでカルシウムが豊富なことから、長寿食としてもにわかに脚光を浴びています。
以上が、アイスランドで食べられる他の伝統的な料理の一部です。
アイスランドは、豊かな海産物や羊肉を使った料理が多く、また他の国にはないような珍しい食べ物もあります。